ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破を見てきた。

思っていた以上に新しい物語としての再構成がなされていて、
正直まだ頭の整理が付いていないのだけど、思いついたままに書いてみようかと思う。
とにかく頭の中の正直な気分はもう一回みたい、アニメオタクなら見て損は無し、演出も作画もあっと驚かせるストーリーも現状使えるテクニックは全て使ってぎゅっと押し込んだような映画と言っておく。見ないと損します。見ないで賛否言う人は信じたくないほど見なきゃ損するすごみがありました。
そういえば少し前にハリウッドで実写版エヴァンゲリオンを作るって話があったそうですが、これ見たあとだとどう考えてもこれを超えるストーリーをハリウッドが作れそうになくて、もし本当に製作してても辞めた方が良さそうと思うほどです。いやまあ、細かい部分ではそのうちちょっとこれはって思う部分あるかもしれませんが、圧倒される凄みは間違いなくあります。
それとパンフレットは見た後買って読もう、ネタバレの宝庫で、見た後は面白さ倍増だけど見る前だと半減します。


あと、なるべくネタバレにはならないようにしてるんだけど、少し内容に触れる箇所があるかもしれないので、劇場版を見に行く前はなるべく情報をシャットアウトしたい方は、このあとは見ない方がいいと思う。




















まず今回の話の流れはTV版で言うところの第8話から第19話と第23話が混ざった物であると理解してる。


その上で、あえて新しい物語として新鮮な気持ちで見られるようにするために、
TV版・旧劇場版にはいなかったキャラをトリックスターのように使って話を再構成してるように見えた。
新キャラのマリは今まで作中でいなかった戦うことを割り切ったキャラとして描かれていて、予告から受けた印象と180度違って新鮮だった。
また声を演じてる坂本真綾さんも今までと違うキャラクターを演じられててこれまたよかったと思う。
正直、優等生キャラじゃないのは初めて聞いた。


あとは今回も人類補完計画ネルフとゼーレで目的とやり方が違うらしく、
ネルフ側の視点に視聴者が置かれているので、
まだゼーレ側の目的と何故行うのかが示されてないのが続編への期待を盛り上げる物だし、
ネルフとゼーレの人類補完計画の最終目標もまた、旧作とかなり変わるのではないかと予感させる物がある。
まあ、この辺はどうオチをつけるのか楽しみなので、あんまり考えずに楽しみにしておこうと思う。


今回は使徒のデザインもCGで動かすことを前提にしているらしく、かなり複雑かつ面白い動きや変化を見せるのが多く、なかなか楽しめた。
また、落下してくる使徒を受け止めるために三体のヱヴァで走るシーンがCGで作画されてるのを知ってびっくりした。
正直背景の建物やモブなんかはCG使ってると思ったけどそこまで使うとは思っても見なかった。
CGらしさを感じにくい作画というのは中々難しいのだけど、今回の劇場版ではそういうシーンを探すのも一つの楽しみかもと思った。


それと個々の戦闘シーンはあまりに演出や動きの情報量が凄く圧倒された。
正直まだ頭の中で整理が付いていないのだが、本当に一見の価値がある。
立体的な動きを叶にする優れた原画マンと演出家がいるアニメの戦闘シーンは、
中々お目にかかれないんだけどこれはそのうちの一つだと思う。


次にキャラクターの役割もアスカがかなり変わって、シンジとのギャグ的なシーンはかなり削られ、エリートであることを周りに見せ続けなければならない本心を言わない孤独なキャラクターの部分が強調されているようだ。
またレイも少しずつ周りに影響を受けて自分から少しずつ周りの関係を改善しようとするシーンがあって、その辺でも旧作よりも神秘的なイメージ以外にあったはずの母性的な部分を強調されているようだった。


他にはカヲルが1作目の序で言っていた三回目はTV版と旧作映画版と今回の新劇場版のことを言っているのかと今頃気付いたのと、シンジを幸せにしたいという心情がどうして生まれたのかという部分がまだ今回は描かれていなかった。
多分続編でその辺はフォローされると思うのだが、どうも石田彰が演じると凄く胡散臭く感じて困る。
とっても上手い声優さんだとは思うのだが(なんせ、二枚目から妙齢の女性はたまたじいちゃんばあちゃん子供まで声を使い分けられる人だから)、何故かそう思う。
あの胡散臭い演技ってどうやったら出来るのかと毎回思うのだけど、何故かそれでも許せてしまうくらい石田彰さんは凄い(俺的に)


しかし、今回声優さんの演技で一番凄く感じたのは、シンジ役の緒方恵美さんがヱヴァが首を絞められてる時に、シンジもシンクロして本当に息が詰まってるような声で、凄く一生懸命アスカを殺すことになるから戦いたくないと言ってるシーンだった。
あのシーンはなんかその場で聞いてて何とかならないのかと次の展開わかりきってるのに思ってしまうほど素晴らしかった。


どんどん書きたいことが出てくるんだけど、書ききれないものが多すぎるほど面白い作品でした。
しかし、今後これを超える物を作るってのは相当しんどいと思う、正直次代を担うつもりの映像関係者にとってはハードル上がりすぎの代物だと思う。
多分興奮が冷めれば粗が見えてくると思うけど、でもこのクオリティで、この圧倒的な存在感で、この作品性で、っていう魂揺さぶるような衝撃を与える作品で、これを超えるためには小手先ではない何かを持たなきゃ駄目だと感じるものを見てしまったと感じた。ストーリーは単純なんだけど付属する情報が多いアニメは凄く疲れるけど楽しい。これはやはり日本でしか生まれない物だと思う。上手く言えないけどごたまぜ感と強烈な個性と随所にあるマニア向けの演出の遊びとか。そういう素養がある人間が一杯いなきゃ成り立たない作品を平気で作って公開して、ペイする国なんて日本くらいだと思う。



と、色々書いてきたけど、正直もう一回じっくり見直してみたい作品だと思う。